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日本住文化の古き良きモノを再生し、次世代に繋げる暮らし

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  1. j

『鎌倉』で民家を再生する

鎌倉市大町。

辻茂さんと奥様の典子さんと愛犬の景虎(柴犬)が新たな人生の暮らしを始められました。

この鎌倉の地に、一軒の素晴らしい日本家屋が完成。

私自身、辻邸と辻御夫妻さんに出会い、

『民家再生』という言葉を知る事になったきっかけの御宅です。

日影良孝建築アトリエ http://hikage-atelier.com/

日本各地で古民家が、様々な経済的理由、社会や生活様式の変化の中で取り壊され、失われようとしています。

『新しい便利なモノが良いとされる。この時代の流れに』

『古き良きモノを重んじる気持ち』が忘れられてしまう。

日本の自然の中で育った、素晴らしい素材と、日本の職人がなす技術。そのモノ、ひとつひとつに宿る、想いと歴史。

古き良き日本の住文化を

『次世代へ継承していきたい』という御主人の茂さんの願いが込められた。辻邸。

子々孫々』次世代へ繋げたい想い

日本の歴史がとても大好きだという、御主人の茂さん。

歴史ある古道具や骨董品の数々。

辻邸には、今までに大切に収集されてきた御主人の茂さんのコレクションが、辻御夫妻の暮らしをつくっています。

「僕は、古くても良いモノが、古いだけで壊されたり、今の時代じゃないってだけで、捨てられたりするのを見るのが、本当に嫌だし、哀しい。」

日本各地で、

日本の伝統や歴史、技術が盛り込まれた、沢山の日本の伝統民家が壊されてゆく様を見てきたという。

「本当哀しい。古い家に嫁ぐのが嫌だ。とお嫁さんが言うから、その代々続いた古民家を壊して、新しい住みやすい家にする。」

「そうしないと、嫁さんはもらえないし、子孫も残せない。」

「誰かが悪い。とかじゃないんだよね。」

「古くなった日本家屋は、色々と維持していくのも大変だしね。」

「新しい事が悪い事じゃないんだけど、時代なのかな。。。」

と哀しそうな表情を浮かべながら、御主人の茂さんが話してくれた。

様々な事情があり、維持できなくなった古民家。

解体されていく、古民家の古材を御主人の辻さんは大切に保管をして、自分の理想の古民家を鎌倉にて完成させたのです。

大きな囲炉裏のある居間

お気に入りの骨董品を丁寧に説明してくれる茂さん

二階から眺めるこの大きな囲炉裏がまたなんとも美しい。

古民家を丸々、完全移築するのではなく、古材をもう一度、削って、磨き上げて、また使えるようにと、生き返らせる。

古民家再生。

そして、あらたに組み直し、一軒の日本家屋を建てる。

何百年も以前の土地で、たくさんの暮らしを支えてきた、建具たち。

時代を超えて、

新たな地、鎌倉へ何百年と継承していく。

『ただ古いだけで、捨てられてしまう』

私たちの故郷で育った大切な資源を。

世界にも誇る、日本の素晴らしい技術を。

この辻邸へ足を運ぶと、強く感じます。

大切なお孫さん達に茂さんの想いや願いが届くといいですね。

歴史資料館のような空間

辻邸の古道具や骨董品の数々を拝見させていただいていると、

まるで歴史資料館や、博物館にきているような錯覚を覚えてしまいます。

すべて、御主人の茂さんのコレクション。

歴史大好きな、私もかなりテンションが上がってしまいました。笑

『長篠合戦図屏風』

織田信長・徳川家康の連合軍と武田勝頼率いる、『戦国最強』の騎馬軍団が愛知県長篠で戦った様子が描かれている。

屏風の隣には、骨董品の鉄砲(火縄銃)がディスプレイされている

居間に飾っていある掛け軸。

和家具ひとつひとつ素晴らしい。

花台も素敵ですね。

鉄瓶と長火鉢。こちらは関西長火鉢ですね。

階段箪笥 箪笥を登ると神棚が祀られている

応接間の扉は、辻家の家紋が入った蔵戸

応接間で使っている椅子は、ウィリアム・モリス

辻邸の照明のほぼ全て、辻さんの御子息がデザイン、製作されたそう。

「僕はね、木材が大好きなんだよ。」

撮影時も、「この木材はね〜」と柱や梁の一本一本と説明してくれる御主人の茂さん。

奥様の典子さんは、

「もうね、主人は木材オタクなのよ〜」

と、日本各地で解体され、破棄されてしまう運命だったこの古材たち。

再生して新たに役割を与えて、辻さんの暮らしと家族を支えている。さらに今後お孫さんの代からさらに繋がってゆく。

本当に、感慨深いです。

一本一本、厚さの違う、欅の階段。美しい踏み板。

茂さんお気に入りだそうです。

私も辻邸の中でこの欅の階段が美しすぎてお気に入りです笑

施工会社は、平成建設。

この辻邸が建てられまでの工程などがブログになっているので、こちらもよかったら見てみてください。

古材を新たに再生させるために素晴らしい、現代の職人の技がたっぷり見れます。

埋木という技術が素晴らしいです。機械でなんてできません。全て大工さんの手作業だそうです。

平成建設 藤沢SHOWROOM通信 『鎌倉の家』 https://www.heiseikensetu.co.jp/blog/fujisawa/tag/T%E6%A7%98%E9%82%B8/

漆の和箪笥 奥様の典子さんのコレクションの着物を保管している

奥様の典子さんのティーカップセットのコレクション

ロイヤルコペンハーゲンにウェッジウッドにマイセン・・・ため息ものです。

懸魚という、日本建築で、妻の破風板(はふいた)の下にあって棟木(むなぎ)や桁(けた)の木口を隠す飾り板

懸魚  井波彫刻総合会館HP      http://www.inamichoukoku.com/kaikan/

釜戸に込めた想い

辻邸の離れの土間に、御主人の茂さんの自慢のかまどを見せていただいた。

かまどは、宮奥左官工業

宮奥左官工業ホームページ  http://www.miyaoku-sakan.jp/

奈良の宇陀市の左官職人に依頼して、つくった自慢のかまど。

古き良き日本の伝統文化。

『日本人の心。本当に美味しいお米、炊きませんか?』

と奥宮左官工業さんのホームページを拝見させていただいて、目に入ったフレーズ。

この現代に、かまどで炊いたごはんを食べた事がある人がどれほどいるのか。。。。

技術が進化していく時代、スマートに使いこなせる家電が簡単に手に入ってしまう環境。

どんどん、日本の伝統技術が衰退していく最中。

御主人の茂さんの『古き良きモノを残していきたい』という想いと、奥宮左官工業の技術がマッチングしたカタチですね。

休日にここで、お米を炊くのが日課だという御主人の茂さん

「孫にかまどで炊いたお米を食べさせたんですよ。そしたら、美味しいって言うんです。」

「かまどで炊くから、おこげができるでしょ?」

「じぃじ、茶色いご飯が食べたいって笑」

「ほんの小さな子供でも、本当に美味しいモノはわかるんだよ。」

「全然違うよね、食べ比べたらわかる。電気で炊いたご飯なんかもう食べられないよ。」

お孫さん達に本当に美味しいごはんを食べさせてあげれることが、本当に嬉しいと話してくれました。

災害に強い日本家屋

地震大国日本。

近年は地震だけでなく、ありとあらゆる自然災害がこの小さな島国を襲っている。

鎌倉市は、山と海に囲まれている地形。

自然災害は、切っても切り離せないという土地だというのは、避けられない事実。

鎌倉市の防災について  https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/bousai/bousai/index.html

ただ、今の日本に安全な土地は、果たしてあるのか。。。

きっと、日本中、世界中探しても、絶対に安全な場所。というのはないのかもしれません。

なら、災害時。

どう身を守っていくのか、どう生きていくのか。。。。

自然災害に備えて井戸を掘ったとのこと。

「この家を建てる時に井戸も必ず掘るって決めてたんだよ。」

「水質的に飲める水ではないんだけど、災害時に水があるって、僕たち人にとって安心でしょ?」

「この土地で、何かあったら、近所の人たちにも使って欲しい。」

水は、確かに大切。飲料水ではなくても、命をつなぐためには水は必要。何かと水が必要になる。

それを踏まえて、辻さんは井戸を掘ったそうです。

鎌倉市では災害時の断水に備え、井戸の所有者に井戸水の提供を呼びかけているそうで、

平成29年3月に水質検査を行った結果、下記の36件の井戸が災害時に飲料水として利用できるようです。

災害時に利用できる井戸  https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/sougoubousai/2014ido1020.html

 

蔵の中にも、たくさんの布団と備蓄があり、

もしも、災害があった時には近所の人々と助け合いたいと御主人の茂さんが話してくれました。

停電した時のために廊下には蝋燭の照明も設置してあるそうです。

釜戸も、災害時にとても役立ちそうですね。

決して、自分さえよければいい。なんて考えは全くなく。

人は助け合って、支え合っていくことが大切という御主人の茂さんの想いや願いが込められた辻邸。

本当に素晴らしいです

思い描いた理想の家に暮らすこと

愛犬の景虎(柴犬)

以前は、ハスキー犬を飼っていたそう。

歴代ハスキー犬の名前は、(武蔵 ねね  謙信 2代目武蔵)

名前は歴史大好き辻さんならではのネーミング。

 

「ここから、囲炉裏がある居間を眺めるのが最高なんだよ〜」

と嬉しそうに、話してくれる御主人の茂さん。

15年前にこの鎌倉市大町に土地を購入して、年月が経ち、好きなモノに囲まれ、理想の家に住む。

これ以上幸せな事はないような気がします。

こんなに素敵なご自宅なら、ずっと家にいたくなりませんか?と聞くと、

「これがね〜、じっとしてられない性格で、まだまだ現役で仕事に行っちゃうんだよ〜」

撮影の日もお仕事前に、お時間をつくっていただき、撮影が終了すると愛車に乗って、会社へ向かうパワフルな辻さん。

恐れ多いですが、大ファンになってしまいました笑

書斎で、大好きな歴史の書籍などを読むのも大切な時間だと言っていました。

隣の蔵には、辻さんの会社の事務所もあり、その小窓からの眺めがおすすめだと教えてくれました。

事務所の席に座る御主人の茂さん

会社の方を招き食事会をする事も多々あるとの事。

古民家再生。

古き良きモノを重んじて、未来に繋げていく家。

『子々孫々』

御主人の茂さんが伝えたい事。

100年以上も前に全く別の場所で、別の住人たちの暮らしを支えて守ってきた日本家屋。

様々な理由で、惜しくも解体され、破棄される運命だった古材。

その古材を、この鎌倉の地で、再生して新たに日本家屋としてこれからの100年に繋げて行く。

日本の職人達の匠の技を使い。

災害に強く、地域の人々との助け合いと絆を深めていきたいと御主人の茂さんの想いがたくさん詰まった家。

これほど、温かく、素晴らしい日本家屋が他にあるのでしょうか。

辻邸に出会えて、本当に心から感動しました。

鎌倉市大町 辻邸 夫 辻茂 76歳 会社役員 妻 典子 70歳 景虎(柴犬) 土地は15年前に購入 2018年完成

 

 

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